<金口木舌>思いやりから発明


この記事を書いた人 Avatar photo 宮城 菜那

 ごみ箱に缶を入れると、自動でアルミ缶とスチール缶に分別される。愛知県の女子小学生が考案したごみ箱が特許を取得し、話題になった

▼投入口から缶を入れると、アルミ缶はそのまま落ちる。鉄製のスチール缶はごみ箱の上部に取り付けた磁石に引き寄せられ、仕切りの反対側に落ちる
▼単純だが、柔軟な発想がなければ思い付かない。スーパーを営む祖父が缶の仕分けに苦労しているのを見て「助けたい」と思ったことをきっかけに、開発に取り組んだという。そのことが何よりいい
▼子どもの思いやりが生んだ発明はまだある。2006年に富山県の男子小学生が、建物から出る人を感知し、傘のオブジェが開閉して傘の置き忘れを防ぐ装置を開発し特許を取得した
▼「自分で缶を分別すればいいだけでは」「傘を忘れさせないためだけにそこまでやるか」。そう考えては味気ない。新たな物を生み出すには、難儀をいとわず実行することが不可欠だ。男子はその後も数々発明し、特許を取得した
▼富を生んだケースも。1998年、宮崎県の女子小学生が手を汚さずペットのふんを始末できる使い捨てスコップで特許を取得。商品化し年商1千万円にもなった。不便や問題を解決するためにとことん考え、思い付いたアイデアの実用化を目指す。その積み重ねの先に思わぬ成功が待っているかもしれない。