<金口木舌>産地の恵みが「化ける」時


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 会場に爽やかな香りが広がる。10月第2土曜日「カーブチーの日」に本部町内で開かれたイベント。400円詰め放題の企画に取材を忘れ参加し、秋の実りがビニール袋からあふれ出そうになった

▼カーブチーやシークヮーサー、タンカン、オートーなどは耳慣れた品種だが、それ以外にもやんばるのミカンは数十種類あったといわれる。中でもカーブチーは運動会シーズンには欠かせない果物だったという
▼やんばるは、ミカン狩りの本格化を迎える季節だ。青果としての魅力はもとより、最近は香りに着目した加工品開発も進む。本部町商工会会員のオキネシアはカーブチーの精油を清涼感あふれる香水に変えた
▼北里大学と共同でカーブチー果皮成分に含まれる沈静効果を解明しフランスの専門家に指導を受け開発にこぎ着けた。過日あった県商工会特産品フェアでは県知事賞を受賞。新しい県産ブランドの誕生といえよう
▼名護市の勝山シークヮーサーでも従来の飲料系以外に、カーブチーやシークヮーサーを活用したジェラートが生まれた。昨年完成した新工場の小ロットでの多品目開発という目的の一つが形になった
▼日本ジェラート協会理事で、世界大会入賞経験のある柴野太造さんは「素材の良さが詰まった商品」と評した。産地の恵みがどう「化け」るのか。消費者の驚きや満足につながる工夫をもっと見たい。