<金口木舌>ウチナーンチュの財産


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 NHK連続テレビ小説「ちむどんどん」の作中でも歌われた「椰子の実」は島崎藤村が作詞した。岬に流れ着いたヤシの実がモチーフで、藤村は故郷を離れた自らの人生を重ね合わせたという

▼かつてウチナーンチュは生まれ育った島を後にして世界各地へ渡った。異国へ向かう胸中には希望と不安があっただろう。戦乱や原因不明の病気など困難に直面しながらも、たくましく生き抜いた
▼移住先で富を築いた人もいれば、思い描いた暮らしを実現できなかった人もいる。一人一人の歩みが沖縄の移民史を刻んできた。成功と失敗、全ての話に耳を傾けたい
▼今や世界に約42万人の県系人がいるとされる。北米や南米などにネットワークが広がり、ビジネスや文化など多方面で交流する。世界とのつながりはウチナーンチュの財産だ
▼「椰子の実」の詞は「いずれの日にか国に帰らむ」と結ぶ。世界の県系人はウチナーンチュ大会への参加で「故郷」の土を踏む。自らのルーツに触れ県民と心を通わせれば、私たちの財産はさらに輝きを増す。