<金口木舌>「いいね」でSNSを埋め尽くす


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 短歌ブームだという。ホストやアイドルの歌集が出版され、若者はスマホアプリで歌を投稿する。57577の31音の表現がSNSと親和性が高いと言われている

▼現代短歌で有名な1首と言えば俵万智さんの「『この味がいいね』と君が言ったから7月6日はサラダ記念日」だろう。「いいね」の爽やかな語感が心地いい。本来「いいね」はポジティブな言葉だ
▼しかし「いいね」が時に人を傷付けることがある。性被害を公表したジャーナリストの伊藤詩織さんを中傷する複数のツイッター投稿に、自民党の杉田水脈衆院議員が「いいね」を押したとして東京高裁から賠償を命じられた
▼SNS発信は世界への発信でもある。「いいね」によって中傷は拡散した。伊藤さんは「指先一つの『いいね』というささいな行為が人を深く傷付けている」と指摘した
▼日々の何気ない風景の中に「いいね」を見つけることで、毎日が彩り豊かになると短歌を詠む人たちは言う。そんな「いいね」でSNSを埋め尽くしたい。誰かを傷付ける「いいね」はいらない。