<金口木舌>高校生失明事件の全容解明を


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 1994年2月、沖縄市で3人の少年が1台のバイクに乗っていたところ、パトカーに見つかり追跡された。バイクは転倒し、1人が死亡した

▼友人らは過剰な追跡が原因だと訴え、沖縄署に詰めかけた。3人乗りは違法行為。逃走すれば警察は追いかけるが、失われた命は戻らない
▼1年前、沖縄署がまた取り囲まれた。先月末、投石などをした少年らが暴力行為法違反(集団的器物損壊)の容疑で書類送検され、今月も暴力団員の男が同じ容疑で逮捕された。暴力は許されないが、改めて騒動の背景に目を向けたい
▼きっかけとなったバイクの高校生の失明事件。警察は当初、警棒使用の事実を明らかにしなかった。なぜ警棒を抜き出し、走行中のバイクの前に出したのか。警察の指揮系統はどうなっていたのか。分からないことがまだある
▼「深夜はいかいする方が悪い」という指摘がネット上に散見されるが、重傷を負わされるいわれはない。視力を失った高校生の心の痛みが和らぐよう、真実を明らかにすることだ。それが再発防止の一歩にもなる。