<金口木舌>「ぶちくらせ」問題に思う


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 県高校新人体育大会は28競技を終えた。勢力図を塗り替えるべく新チームや個人が始動した

▼結果によらず今後の成長に期待したい。各会場には「一意専心」「戮力協心(りくりょくきょうしん)」など気迫みなぎる横断幕が掲げられ、「ばんみかせ」も躍った
▼プロサッカーJ2ギラヴァンツ北九州をめぐる議論が気になる。当地の方言「ぶちくらせ」を使う私設応援団の歌や横断幕にクラブや行政が待ったをかけた。「殴る」「倒す」の意の「くらす」に強調語「ぶち」が付く
▼クラブはホームページで説明する。「感受性豊かな子どもにフェアな戦いの価値を感じてもらうには不適切。嫌悪感を持つ人も多い」。併記される応援団の見解は「方言として実際使われている」「賛否あるものに対する主観的なクレームに乗るのは間違い」など
▼10月末、クラブが使用を禁じた。1日には応援団が掲げた従来の横断幕をクラブが強制撤去、北九州市長も同調して話は平行線に。昨年、浦和レッズの一部ファンが人種差別的な横断幕を掲げ、Jリーグは公序良俗に反する応援防止へ規約改正した。その余波か
▼言葉の是非は地元に任せたい。だが論外である差別や侮辱など一部の突出した行動を機に、公序良俗の号令で今回のクラブや行政のような“自主規制”が広がる風景は息苦しい。清く正しく「美しい国」の旗の下、アクの濃いものは生きづらそうだ。