<金口木舌>「初っ切り」にあらず


この記事を書いた人 Avatar photo 宮城 菜那

 殴ったり、蹴り飛ばしたり。若い力士や行事が土俵で繰り広げる一見、コントのような見せ物が「初っ切り」。相撲の禁じ手を面白おかしく紹介するため、江戸時代から続いている

▼12月中旬、県立武道館で開かれる大相撲沖縄場所でも予定されており楽しみだ。最近はプロレスの技を繰り出したり、取組中、カメラにピースサインをしたり、「初っ切り」の中では何でもありだ
▼「初っ切り」なら、笑って済ませられるが、禁じ手だと指摘したい異例な事態が最近、政治の世界で横行している。9月、参院特別委で行われた安保法制の採決は、速記録にも「議場騒然、聴取不能」としか記載されておらず、表決の要件を満たしていない疑いが指摘されている
▼名護市辺野古の新基地建設をめぐり、政府は名護市を通さず、同市の久辺3区に地域振興事業費を直接交付する。沖縄防衛局は都合良く私人や国の機関の立場に切り替え、新基地建設の手続きを推し進める
▼辺野古の現場では公務執行妨害で逮捕された男性が、機動隊員の手でバランスを崩されていたことが本紙や市民の撮影動画で明らかになった。2日後、処分保留で釈放されたのは当然だ
▼まさに何でもありの事態だ。9日は、いい(11)空(9)気にかけて「換気の日」。権力の横暴を許さない国民、県民の目で政治の世界や沖縄県に流入する悪い空気も一掃したい。