<金口木舌>「白紙撤回」を流行語に


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 「ラブライバー」「アゴクイ」-。先日、2015ユーキャン新語・流行語大賞の候補が発表された。耳慣れない言葉に、はやりへの疎さを感じつつも本当にはやったのかという疑問も

▼「マイナンバー」「オワハラ」「モラハラ」など流行語か、と首をかしげるものもあるが社会的に話題、問題にはなった。「火花」は父親が名護市出身の芸人、又吉直樹さんの芥川賞受賞作。県民にとってもなじみ深い
▼目に付くのは政治に関する言葉だ。中でも安全保障関連法や安倍政権を批判する人たちが使用した言葉が多い。「戦争法案」「アベ政治を許さない」-。石破茂地方創生相の発言から抜き出された「自民党、感じ悪いよね」も
▼第2次安倍政権発足後、最初の流行語大賞では「アベノミクス」や「3本の矢」など、政権が掲げた政策も候補になった。14年は「集団的自衛権」「積極的平和主義」。ことしは安保関連法などを強硬に推し進める姿勢が影響したのだろう
▼沖縄県内限定だとどうか。「うしぇーてぇーないびらんどー(ないがしろにしてはいけませんよ)」「魂の飢餓感」。新基地反対で政府と向き合う翁長雄志知事の言葉が印象深い
▼候補の一つ「粛々と」は政府の沖縄に対する姿勢を表す言葉だった。さて新国立競技場問題で候補になった「白紙撤回」だ。別の意味で沖縄県民も流行語になることを待ち望んでいる。