<金口木舌>汚染源は調べられる


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 成人の体の5~6割を占める水は生命の源。哲学者は流れる川の水を見て「万物流転」を唱えたが、その水の中に自然では分解されない「永遠の化学物質」が混ざれば、いかなる影響を及ぼすか

▼米軍基地が汚染源と指摘される有害物質PFASについて、防衛省が国会で基地との因果関係で「確たることを申し上げることは困難」と答弁した。それもそのはず、米側が基地内の調査を拒んでいるのだ
▼政府は立ち入り調査を米側と調整しているというが、何年も実現していない。調整の場は密室の日米合同委員会。本気度も分からない
▼過去には日本の防衛官僚が密室で「地元が基地への立ち入りを求め、汚染を浄化するコストを背負いかねない」と述べ、環境問題で柔軟な姿勢を取らないよう米政府に“ご注進”していたことも発覚した
▼有害のPFASは米国におもねる政府の体質もあぶり出したらしい。ドイツでは米軍基地に立ち入り調査し、米軍の費用負担でPFAS汚染を除去した。「確たること」を導くのは困難なことではないはずでは。