<金口木舌>地方から見る「主従」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 今春、米大手コーヒーチェーンが都道府県で最後に鳥取県に出店し、初日の売り上げは国内の店舗で歴代1位となった。少々斜めから見ていた方がいる。元鳥取県知事の片山善博さんだ

▼「それだけの金が鳥取県から米企業に吸い上げられたと思うと、もったいない」。片山さんいわく、地元にはいいコーヒー店がたくさんある。そこにお金を落としてこそ、地方活性化になる
▼旧自治省出身という霞が関の元住民で、総務相を務めても立ち位置は地方にあるのだろう。熊本県知事だった細川護煕元首相と元出雲市長の岩国哲人さんが「鄙(ひな)の論理」を著したのは1991年。バス停を10メートル動かすにも国に届け出が必要だ
▼「許認可の8割近くをいまだに中央が握る」との問題提起は99年の地方自治法改正にもつながった。国と自治体の関係を「上下、主従」から「対等、協力」へ。地方分権の流れは明確だった
▼辺野古沖埋め立てをめぐり、国は地方自治法上の代執行を提訴した。是正する手段がない時の例外的手段として法に残された「代執行」だが、政府は法改正後初めて適用へ向け踏み出す
▼いまだ沖縄だけに「主従」を持ち込む政府は、地方自治法の本来の精神をご存じないらしい。しかし問題は沖縄だけにとどまらない。地方に立ち位置を持つ多くの人たちは、政府が「主従」を振り上げるさまを見ている。