<金口木舌>暴力を許さぬ誓い


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 慰霊の日、糸満市摩文仁の平和祈念公園には多数の警察官が並び、物々しさが漂っていた。平和の礎を訪れた人が木陰に置いた荷物も「不審物」として警戒された。1年前の事件が社会に与えた衝撃を、改めて実感する

▼昨年の今日、演説中の安倍晋三元首相が凶弾に倒れた。銃撃した山上徹也被告の動機がクローズアップされた結果、旧統一教会による被害や政治家とのつながりが注目されている
▼一部のネットでは、見過ごされてきた高額献金による被害や保守系政治家との関係を表面化させたとして、山上被告を一種の「英雄」としてたたえるような書き込みさえあり、危うさを感じる
▼本来は社会に問題提起をするべきメディアの一員として、被害を長年にわたって放置してしまったことを猛省する。弱い人を救うための民主主義が正常に機能していれば、事件は起きなかったかもしれない
▼暴力を使って現状を変えようとする考え方を許すことはできない。安倍氏の冥福を祈るとともに、怒りや憎しみを暴力に頼らず解決することを誓いたい。