<金口木舌>子どもを追い込む社会のエラー


この記事を書いた人 Avatar photo 宮城 菜那

 運転免許を取って半年ほど。そして、新しい部署に異動して仕事をこなせるようになったころ。事故や大きなミスはそんな時期に発生する。覚えがある人も多いだろう

▼最近よく聞くヒューマンエラー(人為的過ち)の要因で真っ先に挙がるのは「慣れ」だという。経験を積んで運転や仕事の手順に油断が生じる。慣れは怖いと言われるゆえんだ
▼東京では見慣れていても、世界の常識からすれば驚く光景だという。夜の街に少女が立ち酔客に声を掛ける。まだあどけない表情に学校の制服を想起させる服装。「JK(女子高生)」とうたう性的ビジネスだ
▼先日、沖縄でも調査をした、児童の性的被害に関する国連特別報告者のマオド・ド・ブーア・ブキッキオさんは「子どもの性の商品化に社会が寛容だ」と指摘した
▼ブキッキオさんは「女子生徒の13%が援助交際をしている」と発言して、日本政府の抗議の後に取り消した。確かに数値の確度には首をひねるが、彼女が日本社会に指摘したいのは、子どもが性被害に遭いかねない事態を容認する大人の姿勢だろう
▼沖縄に対しては貧困、高い失業率や高校中退率、虐待的な家庭環境を挙げ「少女たちがこうした状況に置かれることが本当に良いのか、問い掛けて」と話した。子どもを追い込む社会のエラーを正すには、慣れた光景に疑問を持つことからだ。