<金口木舌>てぃーあんだのおにぎり


この記事を書いた人 Avatar photo 宮城 菜那

 興味深い記事だった。訪問先のトイレで便座に触れることに半数が抵抗を感じ、トイレットペーパーで便座を拭く人が4人に1人だという。清潔意識が高まる中、さもありなんという結果だ

▼だが、こちらの調査には驚いた。小学生の25%が他人の作ったおにぎり(市販品は除く)に「抵抗がある」そうだ(2013年ベネッセ調査)。理由は「汚い感じがする」「ばい菌があるかも」
▼この傾向は大人にも広がっていて、ネットで告白する人も増えた。有名タレントも次々と公言している。ラップで握る作り方を紹介する料理番組もあるほどだ
▼抗菌グッズが売れ、世の中、無臭、潔癖への志向が強まっている。つり革や客用スリッパ、エレベーターのボタンも触れないとなると、過剰にも思える。体に悪い菌だけでなく良い菌まで拒んではいまいか
▼最近は他人の手作り料理を一緒に食べる機会が減り、人との距離が遠くなったのが要因と指摘する専門家もいる。機械で作ったコンビニのおにぎりや、すし店のにぎりずしなら平気らしいので、人のぬくもりよりも無機質なものが求められているのか。寂しい
▼沖縄には「てぃーあんだ」という言葉がある。手の脂が染み込むくらいに愛情を込めて料理することを表す。作ってくれた人の心が感じられて、おいしさが増す。てぃーあんだよ永遠に、と願いたい。