<金口木舌>知の拠点


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 秋深まる中、読書にいそしむ方も多いのではないか。電子書籍も広がってきたとはいえ、やはり紙の良さも捨て難い。そこで重宝するのが図書館だ

▼全国にはカフェを併設したり、大手書店が民間運営したり、さまざまなスタイルがある。最近話題になったものでは、自分が借りて読んだ本の履歴が銀行の通帳のように一目で分かる「読者通帳」が興味深い
▼県立図書館が2018年夏にも移転する。那覇市泉崎で現在建設中の那覇バスターミナルビルへの引っ越しが決まっていて、3~6階の4層を使い、床面積は現在の約2倍となる。収蔵冊数も約3倍の216万冊となり、新たな知の拠点が生まれる
▼県は現在、新県立図書館の在り方について外部有識者も交えて議論を進めている。立地がターミナルという交通の結節点だけにビジネスや観光客利用でも期待が高まる。今はない夜間開館も検討対象というから、新たな可能性を感じる
▼県外では公立図書館の運営で、指定管理者の民間企業が伝統的な図書館の分類法を変えたり、不適切な書籍購入があったりと問題になった。指定管理者の導入にも慎重な論議がほしい
▼図書館は単に本の倉庫ではない。知りたいことに応えてくれる司書がいる。箱が変わっても変わらないものがある。図書館の役割にあらためて思いを致しながら、きょうもページをめくろう。