<金口木舌>「非暴力」象徴する歌、踊り


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 名護市辺野古のキャンプ・シュワブのゲート前。国道沿いの歩道に人の波ができた瞬間、曲が流れラインダンスが始まった。宝塚歌劇団の華麗さには遠く及ばないが、一人一人の輝きは舞台俳優顔負けだった

▼市民がテントを設けて500日目のことだ。初めて千人規模で座り込みをし、警戒していた新基地関連工事の車両搬入がなかった喜びを踊りで表現。振り上げる脚に民衆の力を共有する高揚感が伝わった
▼歌や踊りで平和を願う姿は今、ゲート前の象徴ともなる。500日目を2日後に控えた日、座り込みする長野県中川村の曽我逸郎村長も市民の表情に感銘を受けた
▼「長期間の闘いは苦しいはずだが、悲壮感どころか歌や踊り、笑顔がある。県外のわれわれが勇気づけられる」。反原発デモに参加したり、村を挙げた環太平洋連携協定(TPP)参加反対デモを開いたり、行動する村長として知られる人物の素直な感想だった
▼一方で、座り込み抗議で国道が約1時間半にわたり渋滞となり、登校時の生徒、学生らに影響が出た日もあった。日々続く活動では市民行動の難しさも垣間見える
▼車いすの参加者や手話で訴える女性、ガンジーやキング牧師の写真を掲げる大学生ら、歌や踊り以外にも市民はさまざまな思いでゲート前に立つ。「命どぅ宝」を知る沖縄だからこそ、手本となる非暴力の闘いはきっとできる。