<金口木舌>「結い」の心で居場所づくりを


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 帰る道すがら、懐中電灯を手にした一団を見掛けた。夜間パトロールの住民だった。興味が湧いたので、しばらく付いて歩いた

▼真っ暗な公園や人けのない住宅の裏を見回った。スーパー駐車場に集まる中学生には「寒いね。風邪を引かないように」と声を掛け、帰宅を促した。非行に走らないように手を差し伸べる心遣いを感じた
▼犯罪や非行に走った人の立ち直りを、地域で支えるのが保護司や更生保護女性会、BBS会といった更生保護ボランティアだ。父親的な立場、母親の視点、兄や姉のようになど、それぞれが役割を担う
▼責務が大きいからこその悩みもある。「時間が十分に取れない」「罪を犯した人への指導、援助に不安がある」などを理由に、保護司は全国的に減っている。定数5万2500人に対し4万7872人、充足率91%と慢性的不足が続く
▼しかし沖縄は例外だ。那覇保護観察所によると近年は減少傾向に歯止めがかかった。定数615人に対し585人が活動し、女性の割合も3割超と全国平均を上回る。充足率が95%と高いことや、活動に対する地域の理解の広がりは全国から高く評価されている
▼名護市で21年保護司を務める島袋哲博さん(74)は、活動を通し地域がつくる安定した生活環境の大切さを痛感する。「結い」の心が息づく島から、安心な居場所づくりの手本を示したい。