「眼鏡が買えず板書を写せない子がいる」「ズボンが破れたまま中学生時のものを着ている」。本紙と高教組の合同アンケートで見えてきた現在の高校生の実態がこれほどまで過酷とは
▼昼食を持参できない生徒がいると答えた教職員が3割、教材費などの校納金が払えない生徒がいるとの回答が7割近くに上った。授業料は無償化されたが、それでも家計は逼迫(ひっぱく)している実情にあらためて驚く
▼家計を助けようとアルバイトする生徒がいるとした教職員は7割を超えた。バイト疲れで成績が下がったとの報告もある。親の経済的困窮が確実に子どもの学ぶ機会を奪っている
▼厚生労働省が発表した2012年の「子どもの貧困率」は16・3%で過去最悪。平均所得の低さやひとり親世帯の多さなどから沖縄は全国平均を上回るとみられる。「貧困」という言葉は人ごとと思われがちだが、誰の身近にでもあるとあらためて思い直す
▼日本財団は、子どもの貧困で社会が被る経済的損失を約2・9兆円と推計した。貧困による機会の損失を防ぐ対策が実は「未来への投資」になるとする専門家の指摘もうなずける
▼アンケートには「今年度は特に家計の厳しいと思われる生徒の自衛隊入隊希望が多い」との報告もあった。まさに経済的徴兵制の兆しではないか。われわれ大人がどういう社会を築いていくかが問われている。