<金口木舌>来年は安心できる年に


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 「安心してください」という芸人のギャグが流行したが、安心できる年ではなかった。集団的自衛権の行使を容認する安保関連法は成立したし、世界ではテロが頻発した

▼マンション工事のデータ改ざん問題やワクチン製造に係る不正など、生活の安全を脅かす事件も多かった。反語的な意味も含め「安」を考えた1年ではある。日本漢字能力検定が選ぶ「今年の漢字」にも納得だ
▼ウェザーニューズがアンケートを基に気象的な観点で選んだ「今年の漢字」は「乱」。鬼怒川の氾濫や季節の乱れなどがそう印象付けたようだ。沖縄も台風が相次いで襲来した「乱」の1年だった
▼ただ、地域別に見ると、沖縄で多かった回答は「暖」。12月も夏日が続き、22日には石垣島で28・0度を記録した。全国で12月下旬に28度以上を観測したのは28年ぶりだ
▼近年、暖かい年末は記憶にない。ここ数年は米軍普天間飛行場移設の動きも重なり、寒い思いばかりだった。2011年は国の環境影響評価書提出を警戒し、県庁の寒い廊下で連日夜を明かした。13年は当時の仲井真弘多知事が辺野古埋め立てを承認したが、震えながら知事公舎前で会見を待った
▼ことしは翁長雄志知事が辺野古移設阻止に向けて国を訴える新たな段階に踏み出した。気分的に「暖かい」とはいかないが希望はあり、寒くはない。来年は県民が安心できる年になるように。