<金口木舌>未来への挑戦


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 全国の映画館で「4D」という上映形態が流行している。「体感型」で座席が映画の内容と連動して動いたり、風や水、香りが出たりする

▼4Dの映画が見られる映画館は四十数館。現時点で沖縄にはないが、立体的な映像の「3D」映画は楽しむことができる。2009年のSF映画「アバター」以降、急速に広がった
▼コンピューターグラフィックス(CG)技術を駆使した映画も多く、映像で驚くことは少なくなった。だが先日見た3D映画には文字通り、度肝を抜かれた。1974年、大道芸人の男が行った米ニューヨークのワールドトレードセンターでの綱渡りを描いた映画「ザ・ウォーク」だ
▼命綱はない。信じられないが実話だ。3Dで表現された地上411メートルの綱渡りは臨場感たっぷり。何度「早く終わって」と願ったことか。男の行為自体は犯罪で許されるものではない
▼だが、不可能と言われた夢に向かい努力を続ける姿には、映像の迫力と相まって心打たれるものがあった。この映画のようにできっこない、と思われてきた表現を次々に実現してきた映画の技術者の努力とも重なる
▼本紙は目標に向かって力強く進む沖縄の若者を描いた「ウチナー未来人」を連載している。それぞれが固定観念にとらわれず、新たな発想で夢の実現を目指している。未来を切り開こうと挑戦を続ける姿は頼もしい。