<金口木舌>水金地火木土天海、そして


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 インターネットも知らず世界はもっと広く、2本立てロードショーがあったころ。「ナイト・オン・ザ・プラネット」(1991年、ジム・ジャームッシュ監督)という映画に見入った

▼ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキのタクシードライバーの夜を描く冒頭、宇宙に浮かぶ地球がぐるぐる回る。同じ瞬間に夜はそれぞれの顔、擦れ違うことなく不器用に刻まれるそれぞれの人生に心揺さぶられた
▼惑星の定義変更で冥王星が「準惑星」に格下げされて10年。「水金地火木土天海」に続くやもしれぬ、太陽系第9惑星の存在可能性を米国の研究者が発表した。5年以内に望遠鏡で発見される予測も示された
▼カリフォルニア工科大研究チームによると“新惑星”の質量は地球の10倍程度、直径は2~4倍、太陽から海王星までの平均距離(約45億キロ)の20倍近い軌道を回り、太陽を1周するのに1~2万年という天文学的規模
▼英国のホルストが手掛けた組曲「惑星」は、地球以外の七つの太陽系惑星を奏でる。完成後に冥王星が発見され、ホルストは作曲に着手するが病に倒れて未完となる。近年別の作曲家が補完したがその後、冥王星は「準惑星」降格の憂き目に
▼常に人の心を捉えてきた第9の惑星。その未知がもたらすのは、この世は分からないことの方が多いからこそ豊かだ、ということではないか。