<金口木舌>防犯カメラ


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 誰かに見られている。そんな感覚にとらわれたことはないだろうか。大抵は気のせいで片付けるが、そうとも言っていられない状況になっている

▼ロシアのウェブサイト「Insecam」で世界中の防犯カメラの映像が無断で公開されている。日本だけでも4千カ所近くに上る。那覇や浦添とされる場所もある。路上の映像だけでなく、進学塾らしき室内の動画も見られる
▼サイト管理者によると、公開しているのはネットワークにつながったカメラ画像で、外部から接続が可能という。専門家は直ちに不正アクセスに当たるとは言えないというが、身の周りの様子が世界中に拡散していると思うと、なんだか気味が悪い
▼見回せば街のあちこちでカメラが増えたような気がする。タクシーにも車内カメラが当たり前のようになった。犯罪捜査でも犯人特定の有効な手段に利用されている。米兵犯罪の抑止でカメラの設置が検討されたこともあった
▼ある米人気テレビドラマが、監視カメラの画像や携帯電話の通話記録などを収集して犯罪を予知し、テロを未然に防ぐ政府の秘
密計画を描いていた。フィク
ションのはずが現実的な描写に背筋が寒くなった
▼米軍基地をめぐって、基地内の監視カメラ映像が流出して問題にもなった。誰が何のために「監視」しているのか。現実がドラマを超えていないか気に掛かる。