<金口木舌>「保育園落ちた」の怒りと不安


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 「保育園落ちた日本死ね」というどぎつい題名の一文がネットの投稿サイトで反響を広げている。待機児童問題の深刻さを象徴する出来事として、テレビのニュース番組でも紹介された

▼子どもが保育園の入園審査に落ち、職場に復帰できないという。投稿者の書きぶりは厳しい。「何なんだよ日本。一億総活躍社会じゃねーのかよ。昨日見事に保育園落ちたわ。どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか」という具合
▼「日本」とは、子育て世代への思いやりに欠ける政治を指していよう。15日の投稿以来、フェイスブックの「いいね」は4万を超えた。「激しく同意」という反応はネットならでは。「他力依存だ」という反論もある
▼当方も6年前、投稿者と似た経験をした。「1歳にして人生最初の不合格か」と落胆したのを思い出す。不安や焦りを抱え、保育園探しに駆けずり回った。今では「保活」と呼ぶそうだ
▼保育園が足りない、働けないという苦境にあえぐ親を救ってこそ政治のはずなのに、不祥事ばかりで頼りない。投稿の言葉を借りれば「まじいい加減にしろ日本」である
▼この4月で「子ども・子育て支援制度」の開始から1年になる。本当に子育てを支える制度になっているか点検を重ねよう。保育士の確保と待遇改善も急ぎたい。子を持つ親の不安を取り除くことが、思いやりの政治ではないか。