<金口木舌>ラジオ


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 受験勉強していたころ、親の目を盗んでよく深夜にラジオを聴いていた。勉強用の学習講座などではなく、取るに足りない内容だったが没頭した。そんな時代だった

▼最近は耳にしなくなったが、FM放送をカセットテープに録音するエアチェックもはやった。テレビなどにはない深夜ラジオ独特の面白さにはまった。ラジオドラマは映像はない音だけの世界で想像が膨らんだ
▼大学進学とともにしばらくラジオから離れていた。それが最近また聴き出している。今はスマートフォンのアプリでリアルタイムに放送が聴ける。ネット上で音声などを公開するポッドキャストも盛んだ。新たな技術が可能性を広げている
▼ビデオリサーチの調査によると沖縄のラジオ聴取率は毎年全国一。車社会の沖縄ならでは、との分析もうなずける。今ほどメディアの種類がなかったころは有線の親子ラジオが離島などで人気だった。最近では地域FM局も各市町村で広がっている
▼全国的にはラジオを取り巻く環境は厳しい。1990年代以降、広告費は右肩下がり。この20年間で4割減となった。若者のラジオ離れも言われて久しい
▼5年前の東日本大震災以降、災害時の頼れるメディアとしてあらためてラジオが見直された。3月3日は「民放ラジオの日」。楽しいだけでない、その役割を思いながら、きょうもダイヤルを合わせよう。