<金口木舌>卒業


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 卒業の季節だ。幼稚園・保育園から小中高校、大学で多くの涙と笑顔が見られた。進学に就職、それぞれの道に向けて期待に胸膨らませている人も多いだろう

▼本紙でも4月に入社する新入社員が社内で研修を始めている。全てが初めてのこと、一生懸命向き合おうとする姿勢は、毎年の光景ながら、こちらも初心に立ち返らせてくれる
▼今春の高校卒業生は、選挙権年齢が20歳から18歳に引き下げられるのに伴い、今夏の参院選から投票することになる見通しだ。今までより一足早く選挙権を手にし、初めて「政治」の世界への扉も開くことになる
▼成人して最初に投票した時のことを覚えている。政治家の主張などはよく分からなかった。それでも自分なりに公約を読んで、少しでも世の中を良い方向に進めてくれそうな人に1票を投じた。その選択が正しかったか、まだ答えは出ていない
▼今夏の新選挙人に今の政治家はどう映っているだろうか。宮古島市議が市議会一般質問で、子どもの貧困対策をめぐり「やり過ぎだと思う。子どもは貧困でこそ進歩する」と発言した。政治家の役割とは何なのか、あらためて考えさせられる
▼子どもが保育園に入れず国に不満をぶつけたブログの文句を「便所の落書き」と吐き捨てる東京・杉並区議もいた。現状を的確に把握して事の本質を見なければ、政治なんて始まらない。