<金口木舌>そうだ、野球場行こう


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 県高校春季野球とセンバツが始まり、毎日が熱戦だ。県勢不在の甲子園中継に手持ち無沙汰の野球ファンもそうでない人も、県大会に足を運んではどうだろう

▼頂上決戦に向け61チームが毎日ふるいにかけられる。2回戦を迎えてシード校が登場し始め、そろそろ16強が決まる。秋季の雪辱、冬場の練習成果の確認、夏への羅針盤と、球児にはそれぞれの思いがある
▼センバツ第5日、神宮覇者の高松商(香川)対いなべ総合学園(三重)戦。初出場で健闘したいなべの延長十回無死、一塁走者がバントをファウルと勘違いして逸機。その裏、暴投のサヨナラで初勝利は突然去った
▼県大会では一瞬の判断が明暗を分ける恐怖をなぞりつつ、スタンドの野球部員が歌い奏でる水戸黄門の主題歌に「苦あれば楽あり」と心和む。応援団の少ない離島勢も負けてはいない。宮古総実、宮古工の1回戦、閑散とした客席から「フイフイ」とプロ級の指笛が主旋律を奏でた
▼重みのある滑らかな音色、ただ者ではない。その正体、指笛王国おきなわ国王の垣花譲二さんだった。宮古島出身、地元勢の応援には熱心に通うそう。しばし聞き入る
▼球児の空を米軍機が行き交えば心中「うるさい」と叫ぶ。渡りの帰りか、サシバ風のさまよい鳥がついに大漁、重そうな魚を運ぶ姿も。球春本番の野球場の光景もさまざまだ。ぶらり出掛けてみませんか。