<金口木舌>女性の働き方は変わったか


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 1980年代に首都圏の女子学生に読まれていた就職情報誌がある。女子学生だけで作った「私たちの就職手帖」だ。当時学生だった筆者の周りでも熱心に目を通す姿を見掛けた

▼80年代前半まで、企業の女性採用は短大・高卒が主で、主要企業の7割が4年制大卒の女性を採用していなかった。その差別の実態を企業の実名入りで紹介し「女子学生の就職バイブル」となっていた
▼きょう入社する若い世代からは考えられない時代だろう。30年前のきょう施行された男女雇用機会均等法で女性に道は開かれたが、採用や昇進での差別禁止についてはまだ「努力義務」止まり。99年の「義務」化まで時間を要した
▼この間、女性は働きやすくなったのか。評論家の樋口恵子さんは「男並みに働きつつ、家事、育児、介護も担わされ、多くが息切れしてしまった」と指摘する
▼今、女性の管理職率は1割未満。非正規雇用の6割を女性が占め、産休や育休を取ることも難しい。「保育園落ちた」ブログに象徴されるように、育児と仕事を両立させる公的支援も不十分だ
▼きょう新たに女性活躍推進法が施行される。企業や自治体に女性比率の数値目標が課されるが、掛け声倒れに終わらないか心配だ。長時間労働や性別役割分業という男性基準の考えを根本から改め、誰もが働きやすい環境を整えていかないと解決にはならない。