<金口木舌>「また届く」宮里藍の挑戦


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 「そこ(米ツアー優勝)にはまた届く」。2012年以降、優勝から遠ざかる女子プロゴルフの宮里藍が復調の兆しを見せる

▼先々週の米ツアーで3位。先週終えたメジャー第1戦は18位だったが、初日と2日目に首位を走り好調を印象付けた。悲願のメジャー大会初制覇の可能性を感じつつ最終ラウンドまでプレーし「収穫はいっぱい」と胸を張った
▼20歳、テレビ界で「(視聴率の)お荷物」と言われた国内女子ツアー人気復活の立役者となる。その後の米ツアー参戦から10年、現在30歳。6年前に3回トップに立った世界ランクは最新で82位だ。4年前の米ツアー2勝を最後に低迷。不調だった武器のパットが最近ようやく上向く。この間、国内外でプロアマのスターが続々出た
▼頂点を巡る1打差に強豪古豪や新人がひしめき、蹴落とし合う神経戦。戦う相手は他人じゃなく自分だと、広大なグリーンを徒歩で延々移動するプレーヤーは孤独だ
▼デンマークの奇才ラース・フォン・トリアー監督が地球への巨大惑星衝突を鬱(うつ)と絡めて描く映画「メランコリア」の主舞台は大きな屋敷の庭園に広がるゴルフ場だ。計算された自然の造形に精神の浮き沈みがひりひりと際立つ
▼ぎりぎりのパットを冷静に沈める繊細さと、戦い抜くずぶとさと。久々の米ツアーVやメジャー初制覇も期待される今季。挑戦し続けるその姿を追い掛けたい。