<金口木舌>憧れの存在で


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 「チョー気持ちいい」「何も言えねえ」-。「蛙王」と呼ばれ、多くの偉業を達成した男子競泳平泳ぎの北島康介選手が8日、現役引退を表明した

▼率直な感情が伝わる名言も印象深い。「取らなければ口だけ男になる」。2001年の世界選手権で銅メダルを手にした時の発言。以降も勝利を宣言し、見事果たすなど「有言実行」を体現した選手らしい言葉だ
▼リオ五輪出場も目指していたが8日、5大会連続出場を逃した。10代が活躍する五輪で30代の北島の勇姿が見たかっただけに二重に残念だ。残念と言えば、バドミントン男子日本のエース、桃田賢斗選手だ
▼違法カジノ店での賭博行為でリオ五輪出場ができなくなった。バドミントンをメジャーに、との思いが強かった。子どもたちが憧れるように、と「ど派手な生活をしたい」と宣言していた。「ど派手」の裏に賭博があったのならむなしい
▼化学メーカーのクラレが新1年生を対象に行った就きたい職業のアンケートで男子の1位は「スポーツ選手」だった。調査が始まった1999年から18年連続のトップで、人気は不動だ
▼目指す職業に誰もが就けるわけではない。スポーツ選手を目指してスポーツに親しみ、プロになれなくても憧れの選手の活躍に励まされたり、かつてプロを夢見た自分を思い起こし勇気づけられたりする。プロの選手は憧れの存在で、と願う。