<金口木舌>一石二鳥の取り組み


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 道で外国人に声を掛けられると一瞬、戸惑う。ほとんどの場合が道案内だ。「英語は得意でない」と返すがそれでも大抵、行き先を伝えてくる

▼分かる場所なら片言の英語とボディーランゲージを駆使するが、言葉でしっかり説明できないのがもどかしい。つたない道案内でも別れ際には笑顔を浮かべてもらえるので、無事にたどり着いて、と願うばかりだ
▼県によると、2015年度の入域観光客数が793万人を超え過去最高を記録した。外国人客の大幅増によるところが大きい。引き続き増やすには観光客の満足度を高めることが重要だ
▼11日、名桜大学が意欲的な取り組みを始めた。留学生や語学を学ぶ学生らが地域のイベントで通訳案内業務を行う「通訳協力隊」の結成だ。中国語だけの対応だが今後、英語、韓国語、スペイン語と増やしていく
▼北部地域で数多いマラソンなどのイベントで、外国人の参加者が増えている。山里勝己学長は「イベントでは難しい通訳が求められるわけではない。地域協力の中で語学を鍛えてほしい」と期待する
▼16日の古宇利島マジックアワーRUNで始動したが、今後も10月の世界のウチナーンチュ大会などが控える。北部が外国人に優しい地域との評判が高まれば、さらなる誘客につながる。人が増えれば語学を学ぶ機会も増えると考えると、一石二鳥の取り組みではないか。