<金口木舌>一億総活躍?


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 育休取得で「減給」「昇格見送り」-。これらは男性の育休取得者の話だ。全日本育児普及協会の調べによると、男性の育休取得者の23%が、利用申請や職場復帰時の処遇などで「不利益を被った」と感じている(17日付本紙)

▼いわゆる「パタニティーハラスメント」だ。妊娠や出産を機に女性が退職などを迫られる「マタニティーハラスメント」に加え、出産後も保育園にすぐには入れない待機児童問題もある。少子化となるのも必然だ
▼政府は「1億総活躍プラン」で、ベテラン保育士の給与を「全産業の女性労働者の賃金を基準に賃金差がなくなるよう処遇改善を行う」とする。なぜ女性労働者の賃金に合わせるのか理解できない
▼共通するのは「女性は夫の扶養下にあり、働くとしても家計補助的な働き方」という意識である。妻を扶養する男性は、妻に育児を任せ育休は不要。夫の扶養下にある妻は、妊娠したら寿退社。女性が多い保育士は低賃金でも夫の扶養下にあるとの決め付けだ
▼しかし、時代は変わった。もはや共働きでないと家計は成り立たず、夫の育児協力は不可欠だ。保育士不足は保育士の奪い合いの様相を呈する
▼「男女雇用機会均等法」が施行され、今年で30年となる。働く機会は均等になったが、賃金差や長時間労働の働き方を変えなければ、女性活躍推進法も絵に描いた餅となろう。