<金口木舌>街の底力


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 会社名を公共施設などに付けて、企業イメージの向上を図る手法にネーミングライツ(命名権)がある。沖縄市では、市野球場が「コザしんきんスタジアム」になった

▼「こんなところにも」と思わせる命名権もある。沖縄市センター商店街振興組合が設けた清掃時の制服命名権だ。オレンジ色のつなぎの背に「地域に貢献」の文字と会社名を刺しゅうする命名権を考えた
▼「コザしんきんスタジアムの命名権で、思い浮かんだ」と振興組合の浜比嘉進理事長。組合役員が中央パークアベニューで、日々行う清掃活動が「動く広告として企業のイメージアップになる」とのひらめきが光る
▼企業数社をリストアップして打診すると、1社目で決まった。命名権を取得した総合建設業、上門工業(沖縄市)の上門信孝社長は「なかなか面白い企画を持ってくる」と意気に感じ、快諾した
▼中央パークアベニューに、かつてのにぎわいはない。店の跡取りが「片道切符の進学・就職」で戻らず、空き店舗率は50%を超える。組合費徴収率も35%というから財政状況は厳しい。同じ市内の銀天街商店街振興組合が2014年9月に解散したことも、人ごとではない
▼制服命名権は商店街の再興に知恵を絞る中から生まれた。アイデアを凝らす振興組合と応援する企業。熱意と取り組み次第で、現状を打開する底力が地域にはある。