<金口木舌>観光メニューに闘牛を


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 闘牛の蹄(ひづめ)に鎌やノミで隙間をつくる。その作業によって足の裏がポンプの役割を果たし、血の巡りが良くなるという。削蹄師(さくていし)は闘牛の健康状態を見ながら約3カ月に1回蹄を削る

▼フリーカメラマン久高幸枝さんの写真集「闘牛女子。」(ボーダーインク)が、その地道な作業を紹介している。勢子(せこ)として辣腕(らつわん)を振るう女性や、増加著しい女性観客。ほかにも飼育管理、牛の鍛錬の様子など、写真一枚一枚が闘牛の奥深さを伝える
▼取組は数秒で決着がつくこともあれば、30分を超す熱戦もある。大会前には勢子らが対戦牛の性格や癖、体調などを徹底的に調べ上げて戦術を練る。晴れ舞台までの関係者の熱意が大会を盛り上げている
▼県内では年間約30大会が開かれ、その8割はうるま市にある石川多目的ドームが会場だ。闘牛のメッカをどう生かすか。市商工会が行った市内36事業者へのアンケートでは「闘牛を活用した地域活性化事業」に8割が興味を持つ
▼闘牛アナウンサーの伊波大志さんは「那覇空港に闘牛ブースを設置したい」「ビール会社と連携した大会を」と提案する。若手ならではの熱意あふれるアイデアだ
▼年季の入る地道な作業あり、熱血闘牛女子あり、若手の意欲的な提案あり。闘牛を取り巻く人たちの情熱が観客を沸き立たせ、地域に彩りを添えている。観光に生かさない手はない。