<金口木舌>沖縄の「政治色」


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 国内から大勢の観光客が訪れる沖縄。好かれる一方で、嫌われてもいるようだ。理由は「妙に政治色が強い」から

▼週刊ダイヤモンドが好きな県・嫌いな県を読者千人余から聞いて番付けした。「好き」で沖縄は北海道、東京に次ぎ3番目。理由は「食文化」「リラックスできる」。「嫌い」でも先の理由で5番目と上位だった
▼「政治色が強い」とは、米軍基地問題を指してのことだろう。沖縄の現状や政治の責任を巡る、本土との認識の開きを感じさせる。「妙に」の言葉には人ごと感がにじむ
▼県内でも、人ごとではない。若者団体「SEALDs(シールズ)」の豊島鉄博さん(21)=専修大3年、那覇市出身=は「沖縄で新基地反対や差別を叫ぶと、同じ沖縄の若者から『政治色が強い』と敬遠されることがある」と言う
▼頭に浮かんだのは2年前、ベルギーで取材した団体「若い欧州連邦主義者」(約3万人)の25歳男性の対照的な言葉だ。「僕らには明確な政治目的がある」。人権、自由、平等、民主主義など欧州共同体(EU)の理念や政策の浸透に取り組む
▼彼は「ネットの普及に伴い、直接向き合って政治を語るのを避けたり、深く考えずに極右勢力に流されたりする若者が増えている」と言い、直接対話の重要性を説いた。県内は今、県議選一色。絶好の機会だ。膝を交えた若者の対話を増やしたい。