<金口木舌>自分の問題は社会の問題


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 「うちの子が保育所に入れなかったのが、出馬したきっかけだよ」。そう話したのは筆者と年齢がさほど変わらない40代の市議だった。児童福祉法で保育が義務付けられているのに、入れないのはおかしいと政治家を志したという

▼筆者も子どもの保育所の入所で似たような経験があった。彼はそれをきっかけに出馬を決めたのに対し、こちらは「この日本社会、どうにかしてくれよ」と思ったものの、政治家になることは考えもしなかった
▼この差は何か。「今の政治家には任せられない。自分が変えるしかない」との強い意志と覚悟の違いだろうか。当方には、その意志も覚悟も考えさえもなかった
▼「地盤・看板・かばん」のある世襲議員は別として、選挙費用や支持者集めなどを考えると誰もが出馬できるわけではない。それでも政治家を目指す人はいる。「自分の問題は社会の問題」と捉え、行動に移す人に期待したい
▼政治家にならずとも、できることはある。それは「投票」だ。きょうは県議選の投開票日。投票で政治は変わり、社会は変わる。「投票しても何も変わらない」と棄権するのは、覚悟を決め立候補した人にも失礼だ
▼「自分の問題」を解決する候補者を見極め、1票を投じよう。ちなみに冒頭の市議の公約「待機児童の解消」はまだ実現していない。当選後の働きを見届けて応援するのも、有権者の役目だ。