<金口木舌>占領意識と女性の人権


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 「OCCUPY」という英語は「占領する・占拠する」を意味する。この英単語を見つけたのは、ベテランズ・フォー・ピースという退役軍人らの団体が、米軍属女性暴行殺人事件を受けて9日に発表した声明文の中だった

▼その単語は「沖縄はオバマ大統領が生まれる前から米軍に占拠されてきた」という一文にあった。基地の中から見える沖縄とは、米軍に「占領」された地なのだと改めて認識した
▼沖縄の住民からすると「沖縄の人の土地をわが物顔で使用している米軍」「もともとは自分たちの土地で一時的に貸している」というのが一般的な思いではないか。基地があまりにも日常となり過ぎて「占領されている」という認識は薄い
▼しかし今回のような痛ましい事件に直面すると「占領されている」と嫌でも意識せざるを得ない。沖縄で戦後ずっと続く米軍人・軍属による事件・事故は、そのような「占領意識」が根底にある
▼軍人による女性に対する性暴力は沖縄だけではない。太平洋戦争中、日本の占領下にあったフィリピン、第2次大戦末期のドイツなどでもあった
▼過去の歴史を見ると“占領軍”がいる限り、女性は「戦利品」の一つと見なされ、人権は守れない。戦後71年がたつ。その間、表沙汰にならず泣き寝入りしてきた女性たちの屈辱に思いをはせたい。事件に終止符を打つには基地撤去しかない。