<金口木舌>みんなの野球


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 甲子園出場を懸けた全国高校野球選手権沖縄大会は16強が出そろった。昨秋から試行錯誤で戦い方を練り上げてきた各校がきょう、8強を懸けて激突する

▼戦力が劣ろうと、最初から「負けて当然」と臨む者はいない。延長サヨナラ逆転負けからコールドゲームまで、敗者の悔しさに違いはない。最後のサイレンが鳴るまで、勝負は分からない
▼3年間ベンチにも入れず、スタンドで応援の選手もいる。大多数の「その他大勢」の中に、公式戦には出場できない女子野球部員がいた。八重山3年の喜舎場光、西原2年の金城妃月の両選手だ
▼金城選手は県予選前、100人ほどの部員と黙々と練習した。きつい内容を容赦しようとする監督に、男子と「同じメニューでやりたい」と頼んだ。152センチ、幼い頃から大好きな白球を追い掛けてきた。公式戦に出られないと承知の上で「大学女子野球に挑みたい」と夢を語った
▼少年野球に女子がいる風景も当たり前になった。後日、金城選手の記事を読んだ宜野座高校の生徒から「女子部員が公式戦に出られるよう高野連に働き掛けたい」との意見が本紙投稿欄に載った
▼全国高校女子硬式野球連盟が選手権を毎年開くが、県内にまだ女子部はない。高校野球連盟主催大会への女子出場を求める声も昔からある。求める人に扉を閉ざさない競技のありようを考えたい。