<金口木舌>イメージに隠れた魅力


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 アジア観光が好調だ。日本旅行業協会がこのほど発表した夏休みの海外旅行先は1位ハワイ、2位台湾、3位シンガポール。ただ、10位内に中国がない

▼中国では上海ディズニーランドが先月開園したばかり。米国は西海岸のディズニーランド60周年イベントが注目され8位、香港もディズニーランド人気で10位。上海の方は、マナーの悪い客を報道されたのが響いたか
▼5月に中国を訪れた。街や行楽地は観光客で大にぎわい。旅行社は「空前の観光ブーム」と話す。だが日本人観光客は激減したという
▼天津名物「狗不理(こうぶり)」の肉まんは美味だ。文字通り読むと「犬も食わない」という意味で、その商品名に驚いた。9年前、北京の露店が食材に段ボールを混入させた「偽装肉まん」を思い出した
▼現地の人に聞くと、幼少期に「狗子(こうし)」と呼ばれた創設者が接客できない(不理)ほど店が繁盛したことに由来する。肉まんに限らず北京や天津の所々で大勢の観光客が美味を楽しんでいた。中国の食品管理はだいぶ改善されたようだ
▼上海ディズニーの面積は東京や香港のそれの約2倍で、さらに増設し最終的には三つのテーマパークを持つアジア最大級のディズニーリゾートになる予定。一見の価値はありそうだ。観光は平和産業。「犬も食わない」味ではなかった狗不理のように、看板に隠れた魅力を確かめたい。