<金口木舌>親子の日にパチリ


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 「私ね、母をサエないと思っていたんですよ」。娘が語る。仕事も持たない専業主婦、父親の言いなり、気の利いた助言もできない。「こういう女の人にだけはなりたくない」。20組の親子にインタビューした本「ごめんなさい」(日本標準発行)の一話だ

▼娘は自分が親になって気付いた。母は何でも受け止めて褒めてくれた。失敗してもとがめない。子どもに力や勇気を与える底力を持っていた。「最もダサいと思っていた母がすごいんだ」と
▼この本で撮影を担当した写真家ブルース・オズボーンさんは6千組以上の親子を被写体にしてきた。元不良少年、ひとり親家庭、仲良し親子、厳格な父…。毎回、感動や温かさに触れた
▼切っても切れないこの絆を大切にしたいと「親子の日」を提唱した。5月第2日曜は母の日、6月第3日曜は父の日、ならば7月第4日曜は親子の日にしようと2003年から活動を始めた。企業などが加わった普及推進委員会も後押しする
▼まだなじみは薄いが、少しずつ全国に広がっている。プロの写真家が家族写真を撮影したり、親子大賞を決めたりしている。本部町では先日、親子の撮影会があった
▼夏休みは親子で過ごす時間も長くなる。つい出てくる小言を抑えて、今度の日曜日は親子で向き合ってみませんか。家族写真を撮り、まずは互いにじっくり話を聞くことから。