<金口木舌>いまだ続く「琉球処分」


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 警官は旧士族ら100人余を拘束し拷問した。両手を縛り、はりにつるし、棒で殴った。皮膚や肉が破れた痛さで泣き叫ぶ声が獄外に響き、人々を震え上がらせた

▼137年前の「琉球処分」で、明治政府は「沖縄県設置」を宣言後、多くの警官を沖縄に投入した。抵抗する旧士族に“アメ”として地位や給与を与えたが効果は上がらず、最後は暴力で弾圧した
▼その歴史と二重写しに見えてならない。政府は、米軍北部訓練場のヘリパッド建設に反対する住民を抑え込むため、全国各地の機動隊員を県内に派遣した。現場では衝突が起き、けが人も出た
▼辺野古、北部訓練場の米軍施設建設に反対する候補が参院選で当選したばかり。民主主義の根幹である選挙で示した「民意」はこんなにも軽いのか。沖縄の「意思」が軽んじられる既視感は「琉球処分」にとどまらない
▼対日講和条約で沖縄が日本から切り離された4・28「屈辱の日」、広大な基地を残しての日本復帰、最近ではオスプレイ配備撤回と米軍普天間基地の県内移設断念を求めた2013年の「建白書」…。枚挙にいとまがない
▼タイムスリップとは違う。歴史が繰り返されている現実がある。「国益」の名の下で「民意」がないがしろにされ続けている。実のところ「琉球処分」はまだ続いているのかもしれない。沖縄が「処分」されない日はいつ来るのだろうか。