<金口木舌>助け、支え合う社会とは


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 あったらいいなと思うロボット、第1位は介護用-。シニア向け宿泊予約サービスを提供する「ゆこゆこ」(本社・東京)が50代以上のメールマガジン会員1570人を対象に実施したロボットに関する調査の結果だ

▼自由回答を見ると、介護する側・される側、双方ニーズがある。「全介助の母を一人で毎日介護している」「子どもやお嫁さんにおむつを替えてもらうのは気が重い」などだ
▼総務省によると、働きながら介護をしている人は全国で約240万人、介護を理由に離職した人は1年間で10万人を超える。介護士の離職も多く、待遇改善が課題だ
▼安倍晋三首相は団塊世代が70歳以上になる2020年までに介護離職ゼロを目指す。介護の受け皿を50万人増やす対策も示したが、職員の賃上げや労働条件改善など人材確保に向けた抜本策はまだ見えない
▼先の調査では、高年齢者ほどロボットを望む傾向が強い。最先端技術への期待か、政府施策への失望か。いずれにせよ、調査結果は問題の深さと切実さを物語る
▼介護施設の現場では、人材不足の影響で職員はより効率的に働こうと、高齢者一人一人の意思やリズムにまで配慮が及ばないことがあると聞いた。果たしてロボットがどこまで人間の代役を全うできるのか。助け、支え合う社会とは-。効率性だけでは解決しない問題の根本にも目を向けたい。