<金口木舌>「つ離れ」目前の不正議員


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 「つ離れ」という言葉をご存じだろうか。客の入りを表す落語界の隠語だそうだ。一つ、二つ…と数えると九つまでは「つ」が付くが、10からは付かないことから、10人以上を指すという

▼こちらは笑えない「つ離れ」が目前だ。政務活動費の不正使用で辞職した富山市議が9人に達した。議長も含まれる。発端は6月。市議報酬60万円を短時間の審議で70万円に引き上げた。十分な説明もせず市民から激しい批判を浴びた
▼議員活動の実態にメスが入り、最大会派の自民会長の不正が発覚した。報酬上げ可決前に、この問題を取材していた地元紙記者を押し倒し、取材メモを奪った人物だ。694万円を不正請求し、飲食やゴルフに使っていた。「遊ぶ金が欲しかった」とはまるで窃盗犯の供述だ
▼公費の悪用は自民会派1300万円、民進系会派1180万円にまで広がった。領収証に数字を加筆したり、パソコンで自作したりと詐欺まがいの手口にはあきれる。補欠選挙も決まり、血税がまた無駄に使われる。富山県議3人も不正で辞職する
▼外国では地方議員は無報酬の地域もある。日本は高過ぎないか。報酬や名誉欲ではなく、地域社会のために汗を流せる人材こそ欲しい
▼沖縄も対岸の火事ではない。「つ離れ」ではなく、市民感覚から懸け離れた議員はいないか。目を光らせていくのは有権者の務めでもある。