<金口木舌>企業に求められる「働き方改革」


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 「自分がいなくなれば、お店がつぶれてしまう」「周囲から辞めるようにいわれても、使命感の方が上回った」-。薄給で激務の「ブラックバイト」から抜け出せなかった学生の声だ

▼沖縄労働局が大学生などを対象にした実態調査で、一方的なシフト変更や長時間労働を強いられるなど不当な扱いを経験した学生が約4割に上った。全国でその割合は約6割。自分のバイト先が「ブラックバイト」だと気付いていない学生も水面下にいるとみられる
▼長時間労働は、アルバイトに限ったことではない。県内の小中高校の教職員は、退勤時間の把握が曖昧な上、沖教組のアンケート調査では3割が過労死認定基準となる月80時間以上の時間外勤務をしていることが分かった
▼いわゆるブラック企業で働き過ぎて精神疾患を患い、退職に追い込まれた男性を取材したことがある。男性が強調していたのは雇用契約時に「労働条件通知書」を請求すること。その条件に沿わない仕事を強いられた場合、雇用主と話し合う場で有効という
▼男性は最終的に裁判で会社側と和解した。「法律的な知識を働く側も持たなければ泣き寝入りしてしまう」と語る
▼働く個人を使い捨ての人材と見なすのではなく、大切にしてこそ組織や会社の利益にもつながり、教育環境も良くなる。政府が進めようとしている「働き方改革」の実効性にも注目したい。