<金口木舌>地域と地域の出会い


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 大阪府枚方市、群馬県館林市、北海道別海町-。ずらりと並ぶ県外からの出店を前に一瞬、「どこの物産展に来たのか」と思った来場者もいただろう

▼やんばるの産業まつりが名護市で8、9の両日、開催された。県外出店は市の友好都市からだ。各ブースを回ると、他の地域の特産品と似ているが微妙に違う商品を見掛けた
▼地域ならではの食材を用いたり、加工の段階で一工夫加えたりして独自性を出していた。この商品にヒントを得たのかな、などと考えながら巡るのも楽しい。推奨品には、やんばるらしい商品が選ばれた
▼名護市汀間で2011年11月、田中喜子さん(65)が開店した「春おばーのなんとう店」のなんとうだ。汀間区で長年、なんとうを売っていた母親、仲里春子さんの跡を継いだ。店名は母親の名前に由来する
▼特徴は黒糖味だけではなく、紅イモやシークヮーサーなど果物や野菜を使ったことだ。「農産物をなんとうに生かしたかった」という田中さんは県内各地で食材を探した。地域の特産品となんとうの融合が人気の秘密だ
▼先日、宮古民謡を代表する「なりやまあやぐ」の大会が名護市で開かれた。優勝は本部町の新城早礼(さあや)さん(24)。企画の目的は宮古とやんばるの絆を深めること。地域と地域の出合いから新しいものが生まれることもある。そこに新たな可能性がある。