<金口木舌>喜びを生む仕組み


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 小学生の時に先生の似顔絵を描いて、褒められたことがきっかけになった。天性の才能は周りの人のちょっとした一言で目覚めることがある。周囲の後押しによってさらに輝きを増す

▼四肢機能障がいがある瑞慶山良さん(23)=うるま市=は、日本肢体不自由児・者の美術展で、昨年に続き2年連続の優秀賞と、その実力は折り紙つきである。この才能を埋もれさせてはならないと知り合いたちが動いた
▼創設されたのが障がい者在宅デザインオフィス沖縄(豊見山真奈美代表)だった。広く障がい者の才能を社会に生かしてつなぐ。自立を視野に入れるビジネスモデルである
▼例えば、オフィス沖縄が企業や個人からスポーツ用ユニホームなどの制作を受注する。瑞慶山さんは同社の登録デザイナーとして在宅でデザインし、制作費用の一部を報酬として受け取る仕組みだ
▼瑞慶山さんは高校生の時には腕前を見込まれ、Tシャツデザインなども手掛けた。だが就職となると、働き口は限られた。在宅デザイナーとなった今、「活躍の場ができた」と喜ぶ
▼初収入の使い道は決めている。「両親にプレゼントをしたい」。平坦(へいたん)ではなかった道を共に歩んだ両親への感謝の表れだろう。障がい者の生きがいと自立を支える仕組みづくりは社会全体で考えねばならない。瑞慶山さんの活躍が、その弾みになればと願う。