<金口木舌>「つながる力」と「石の心」


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 「つながる力」。ありふれてはいるが、元気が出る言葉である。辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会の会報の名前だ。昨年5月の結成時から募集していた。9月の第5号から晴れて名前が付いた

▼協議会の取り組みによって4月までに搬出地の8県10カ所がつながった。現在、12府県18団体が協議会に結集して「つながる力」を発揮している。署名を集め、防衛省、環境省、当該県などに要請、交渉を重ねている
▼共同代表の阿部悦子さんは、瀬戸内海を埋め立てや海砂採取から守ろうと運動している環瀬戸内海会議で長年活動してきた。昨年、搬出地を全て訪ねようと決意し、今年3月で達成した
▼各地を回ることで見えてきたものは何だったのだろう。「搬出地は全て過疎に悩んでいる。そしてどこも美しい故郷だったのに、人が住めなくなっていく」。山が消え、海が汚され、採石であいた穴を埋めようとやって来るのは最終処分場だ
▼協議会が4月に発刊した冊子の表題は「どの故郷にも戦争に使う土砂は一粒もない」。被害者である自分たちが加害者にされることへの憤りが凝縮されている
▼「つながる力」と最後まで争った会報名の候補は「石の心」だった。石には罪はないのに、搬出地を苦しめ、搬入先で自然を破壊し戦争の土台にされる。人間の身勝手な欲望に反省を迫る。これも捨てがたい名前である。