<金口木舌>甲子園に吹く風


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 選抜高校野球大会の出場校が決まった。2年連続優勝、夏春連覇などそれぞれの夢への挑戦が始まる

▼甲子園で試合後のチームが退場する通路は若干の上り坂になっている。汚れたユニフォーム姿で用具を抱えて上ってくる選手らの映像をご記憶の方も多いだろう
▼通路脇に関係者用の休憩コーナーがある。今は沖縄電力で活躍する伊波翔悟投手擁する浦添商が4強入りした大会と記憶しているから2008年の夏のこと。そこにいると雑踏警戒の警察官に声を掛けられた
▼奥さんが沖縄の出身で、以前に母校が甲子園に出場したという。校名は覚えておられなかったが、宜野座高と推測できた。「そろいの応援Tシャツまで買い込んでね」。妻の熱狂ぶりを思い出しあきれ気味だったが「何年経っても地元を応援できるのはいいですね」とうらやましがられた
▼ことしの選抜は県内から選ばれなかったが、秀学館(熊本)などに県出身選手がいる。滋賀学園に所属する北中城村出身の武井琉之選手が取材に「沖縄代表としても頑張る」と答えたのを聞いて心が温かくなった
▼県外に進んだが、出場を果たせなかった選手への気遣い、県外の沖縄出身者へのアピールのようにも感じた。スポーツ人材の流出という側面もある。だが、ここは出場を決めた選手たちを祝いたい。彼らのプレーが県内チームの発奮材料にもなるはずだ。