<金口木舌>時には肩の力抜いて


この記事を書いた人 琉球新報社

 料理上手で知られるタレントのタモリさんが以前、「料理は手軽にできるクリエイティブな作業だ」と話しているのをテレビで見て、共感したことがある

▼レシピにある材料が足りない時、他のもので代用してうまくいくとうれしい。冷蔵庫にある材料だけで、おいしいものができた時は、妙な達成感がある。最近は料理の投稿サイトが充実し、材料を打ち込むと何百種類ものレシピが示されるので重宝している
▼それでも忙しい日々の中で、毎日時間や手間をかけるのは、簡単ではない。料理研究家の小林カツ代さんは「フライパン一つ」「鍋一つ」で作る時短料理の先駆け。中でも包まないワンタンスープは衝撃的だった。ひき肉、ワンタンの皮をスープに入れてゆでるだけなのだ
▼小林さんは「おなかの中に入れば同じよ」と笑っていた。毎日作るのだから、本格的なものでなくても構わない。柔軟な発想は、仕事を持つ女性だけでなく男性にも支持されたという
▼もちろん時間をかけた愛情料理も素晴らしいが、料理の時間を短縮して家族とゆっくり過ごしたり、趣味を楽しんだりする余裕も大切だ。優先順位は日々変わる
▼4月も下旬になり、新入生や新社会人もそろそろ疲れが出る頃だろう。大変な時は、全ての面で頑張る必要はない。小林さんの発想を見習い、時には少し肩の力を抜くのもいい。