<金口木舌>最強王者の秘蔵っ子の世界挑戦


この記事を書いた人 琉球新報社

 21歳で世界を取る、と公言し続けた若者が、その年齢でチャンスをつかんだ。プロボクシングWBCフライ級1位の比嘉大吾選手だ。5月20日に王者フアン・エルナンデス(メキシコ)に挑む

▼3年前の紙面を見ると、ジムの会長具志堅用高さんの隣で「会長のようなチャンピオンになりたい」と夢を語る高校3年生のあどけない表情がある。具志堅さんは5年以内の世界戦を描いた
▼期待を上回る成長は師匠をも驚かせただろう。デビューから負けなしの12戦連続KO。ユース世界王者、東洋太平洋王者など階段を上る姿は、世界戦で6戦連続KOの日本記録をつくった具志堅さんと重なる
▼果敢に前へ出るスタイルは、宮古工高時代から光っていた。知念健次監督に聞くと「リング上の気迫や勇気など、教えても身に付かない気持ちの強さがあった」と評した
▼並外れた心技体の強さはプロ7戦目、タイでの試合で証明された。当時のユース王者で地元の英雄から2度ダウンを奪い、タイトルを奪取した。セコンドの具志堅さんも敵地での戦いぶりに「世界はいける」と実感したという
▼具志堅さんは21歳で世界王者となった。憧れの王者の秘蔵っ子と呼ばれる今、希望はかない挑戦の場を得た。周りへ感謝が大きい分、相応の決意もあろう。プレッシャーをはねのけた先のチャンピオンベルトを多くのファンが待ち望む。