<金口木舌>いかに向き合うか


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 江戸家猫八は声帯模写で有名な名跡。大正生まれの3代目でご記憶だろうか。息子の小猫さんは4代目襲名後に亡くなった。ご子息の2代目小猫さんが3月に沖縄こどもの国で「動物園の楽しみ方」と題して講演。祖父や父との思い出を語った

▼南方同胞援護会が「こどもの国」建設を計画したのが50年前の1967年4月。開園に向け全国の小中生が「沖縄復帰を記念しよう」と10~15円の寄付に取り組んだ。コザ市史によると政府補助を含めて集まったのは2億3千万円。小中生の寄付は約7千万円で3割を占めた
▼こどもの国の入場者は2年度連続で45万人を超えて好調だ。だが、高田勝園長は「娯楽施設ではない」と強調する。誘客数だけでは評価され得ない部分があるということだ
▼ゾウやキリン、アリクイなどの飼育・繁殖で評価が高い。海外の野生動物の受け入れが不可能な中、国内園の間でいかに種をつなぐかは大きな課題だ。支援されることの多かった国内最南端の園は、全国の園から期待と注目を集め始めている
▼小猫さんは動物園の楽しみ方をこう提言した。「子どもが興味を持った動物の前で何時間でも過ごしてみて」。全ての動物を回らなくてもいいと
▼全部を回らないのは、少し惜しい気もする。ただ、好きな動物と思う存分に向き合えたなら心に何かが残るはずだ。今年はそんな回り方をしてはどうだろう。