<金口木舌>暮らしを守るたが


この記事を書いた人 琉球新報社

 しまくとぅばの「かにはんでぃゆん」は「ぼける」や「もうろくする」のほかに「性格がルーズになる」という意味もある。おかしな態度をからかう時にもよく使う

▼ちなみに「かに」は矩尺(かねじゃく)のこと。そのほかにも「生活・社会上の枠や規範、常識」という語意も含んでいる。常識を踏み外すような振る舞いも「かにはんでぃゆん」と言ってよさそうだ
▼やまとぅぐちで言えば「たがが外れる」や「たがが緩む」だろうか。「たが」とは桶(おけ)の周りにはめる竹や金属製の輪のこと。実物は暮らしからは遠のいたが、日常会話の中では頻繁に登場する
▼例えば安倍政権だ。まさにたがが緩んだか、外れている。閣僚らの相次ぐ暴言に失言。今村雅弘復興相も更迭と相成った。1強体制のおごりというだけでは済むまい。新聞やテレビのニュースは「緩」の1字を添えて内閣の失態を伝える
▼それでも沖縄に対しては「暴」や「圧」の姿勢を貫くつもりらしい。辺野古の護岸工事がそうだ。常軌を逸しているという意味で安倍政権はもはや「かにはんでぃゆん」の体
▼たがを漢字で書けば「箍」。文字の成り立ちは「手で物を固く巻き付ける竹」となる。これ以上暴走しないよう私たちの手で政権を縛る必要がある。道具は竹ではなく憲法だ。きょうで施行70年を迎えた日本国憲法。暮らしを守るたがとしたい。